オフィス移転【居抜き物件】の注意点とは?
オフィス移転は多額の費用が発生するものですが、とりわけ賃貸物件の場合は原状回復工事と移転先の内装工事に費用がかかります。しかし、居抜きという方法であれば、原状回復の必要性が無く、移転先に居抜き物件を選べば内装工事も必要ありません。しかし、退去するにも入居するにもいくつかの注意点もあります。
オフィスを丸ごとリユースできる居抜きとは
一般的に、賃貸物件から退去する際は原状回復の義務が生じます。中でもオフィスビルの場合は内装の撤去が大掛かりになる上、経年劣化した部分まで回復させなければならず、オフィス移転に伴う退去費用の中でも大きな負担になるのがその工事費です。
さらにオフィス内の備品を全て移動させる場合、引っ越しサービスなどに依頼すればそれだけ人件費がかさみ、大阪のオフィス街のように駐車スペースが限られている場所ではオフィス家具を一度に運び出すのが難しい場合もあります。
また、入居する際も移転先の内装やレイアウトを白紙から構築する労力は大きく、内装工事も費用負担が大きくなりがちです。さらに電気や通信の配線工事も必要となりますが、賃貸物件の場合は依頼する事業者に指定があると企業努力でコストを削減することが難しくなります。
こうしたオフィス移転に伴う入居と退去の費用負担を圧縮し、労力を削減できるのが居抜き物件です。物件によってはオフィス家具がそのまま残されていることもあるので、オフィス移転に伴う家具の買い替えを減らすことができたり、電気配線や通信回線がそのまま使えるなど、内装工事以外でもコストを削減できる部分が出てくる可能性もあります。
原状回復に伴う廃棄物も発生しないので、クリーニングと細かな補修だけで十分に使用可能なオフィスであれば環境にも優しい方法といえます。
居抜き退去は落とし穴もある!その注意点とは
原状回復工事なしに退去できることから、低コストのオフィス移転が実現する居抜きですが、この方法には落とし穴があります。そもそも賃貸契約において、退去する際にはいかなる理由があっても原状回復が必要とされている場合には契約に従わなければなりません。
もちろん、ビルオーナー側との交渉次第では可能になる場合もあります。特に大阪のようにオフィスが多い地域では、既に内装がされている物件の場合は内装造作つきとして売り出しやすく、新たな借主や買い手が見つかりやすくなる可能性があるのです。
とはいえ退去時には最低限の修繕を求められる場合があるので、ある程度の工事や清掃にかかる費用負担は必要です。さらに注意しなければならないのが、退去日までに次の借主や買い手が見つからなかった場合には原状回復が必要になる可能性があることです。
大阪にも居抜き退去に伴う新たな借主や買い手とのマッチングを行うサービスは展開されていますが、マッチングのためには半年程度の時間が必要になります。賃貸契約によっては次の借り手が見つからなかった場合には原状回復の上で退去となる場合もあるので、居抜き退去を希望している場合でも、原状回復にかかる費用の見積もりや工事内容の計画については必ず検討が必要になります。
加えて家具を残していく場合には、新たな借主が資産の経理処理で混乱しないよう、耐用年数や価値をあらかじめリスト化することも大切です。
居抜き入居が必ずしも低コストにならない理由とは
オフィス移転の際、退去費用は大きな負担になりますが、居抜き物件への入居であれば、入居費用がおさえられるメリットがあります。しかしながら、入居に関してもいくつかの注意点があり、長期的なビジョンを持って検討する必要があるのです。
居抜き物件への入居でまず注意すべきは、残置物が今後十分に使用できるかどうかという点です。耐用年数を超えた物や業務上不必要な什器が残されている場合、借りる側がそれらの処分費用を負担しなければならない可能性があります。さらにそれら中古資産の譲渡にかかる経理処理や耐用年数の適応といった税制上の手続きが必要になるため、事務処理が煩雑になる場合もあります。
また、オフィスのレイアウトや内装にも注目しなければなりません。内装造作つき物件の場合、そのレイアウトが必ずしもこちらの業務に適したものではないことも考えられます。そうした場合には改装工事が必要になりますが、レイアウトや導線にこだわりが強い場合にはよく検討した方がいい部分です。
なにより、賃貸物件の場合はいずれ退去する日がやってきます。入居時には居抜きで低コストを実現したとしても、次の退去で原状回復が必要になった時、それにどれだけのコストが生じるのかまで予測しておかなければ、老朽化による修繕などが思わぬ支出になりかねません。
大阪ではオフィスビルの再開発も進んでいるので、居抜き入居は入居先の築年数も顧慮して判断した方がいいでしょう。
退去するにも入居するにも費用的なメリットの大きな居抜きですが、内部のクリーニングや改修、残置物の引継ぎといった出費や事務手続きが必要になる場合もあります。快適に業務を進められる環境を作るには、長期的なビジョンを持って検討することが必要です。