オフィス移転時に必要な届出は?官公庁や民間への手続き
オフィス移転の場合は個人の引っ越しとは異なり、官公庁に提出が必要な届出が多く非常に複雑です。届出は複数の機関に提出する必要があるので、オフィス移転の際には悩まされる方も少なくありません。この記事ではオフィス移転を行うにあたって必要な手続きや届出について説明します。
届出に限らずオフィス移転の準備と流れの全体像を知りたい方は下記の記事をご覧ください。
官公庁への各届出について
オフィス移転に関する官公庁への届出は大きく分類すると、法務局に対する物、税務署に対する物、労働基準監督署に対するものに分かれます。
法務局への届出
オフィス移転では法務局への登記が必須です。本店移転は移転後2週間以内に、「本店移転登記申請書」を提出、支店移転は3週間以内に「支店移転登記申請書」の提出が必要です。法務局の管轄が変わる場合は、両方の法務局に書類を提出する必要があります。
税務署への届出
税務署への提出書類には、「異動届出書」と「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書」があります。異動届出書は移転後すぐ、給与支払事務所等の届出書は1ヶ月以内に提出する必要があります。納税地が変わる場合、これも両方の税務署に提出が必要です。
労働基準監督署への届出
労働基準監督署では労働保険の変更手続きを行います。一元適用事業所(労災保険と雇用保険を一本化)は、すべて労働基準監督署に提出します。二元適用事業所(これを別々に扱う)では、労災は労働基準監督署、雇用保険は公共職業安定所へ提出する必要があります。
年金事務所への提出
年金事務所に提出する適用事業所所在地名称変更(訂正)届が必要です。移転後5日以内に提出しなければならないので注意しましょう。
その他
上記の他にも企業の形態や補助などを受けている際は別途手続きが必要になる場合もあります。また各種手続きは移転先や管轄などによって窓口や提出物が異なる場合があります。会社の状況を踏まえて改めて確認するようにしましょう。
滞りなく確実に手続きを進めるためには、年金や労働保険に関する申請は社会保険労務士に、登記にかかわる事項は司法書士に、税務署への届出は公認会計士にそれぞれ依頼することをおすすめします。
多くの手続きが必要な労働基準監督署への届出だけでも専門家の力を借りるのが確実です。
民間への届け出
官公庁への届出は専門家に確認を取って行うことができますが、民間への届出は基本的に社内で行う必要があります。これも漏れのないように注意しましょう。
銀行に関する手続き
銀行では、移転に伴う住所変更や法人口座の住所変更手続きが必要です。これは、移転によって変更される企業情報を最新の状態に保つため重要です。特に、銀行取引に使用する印鑑登録の住所も更新する必要がある場合が多いです。銀行によっては郵送やオンラインで住所変更が可能な場合もありますが、公印を含む変更や重要な手続きでは、実際に銀行の窓口を訪れる必要があることが一般的です。
郵便局や配送会社への手続き
郵便局では,転居届を提出することで1年間無料で旧住所から新住所へ郵便物を転送してもらうことができます。窓口やインターネットで申請可能ですが、申請には社員証や健康保険証など会社との関係がわかる資料が必要です。また特定の配送会社から頻繁に荷物を受け取る場合は、直接各配送会社への転送手続きを行うとスムーズです。
通信関係の整理
電話移設時は、移設申込みと共に、旧オフィスの電話・電話線撤去工事を依頼する必要があります。引越し日程決定時は電話線工事も計画に含め余裕をもって進めましょう。さらに、インターネットプロバイダーとの契約変更も必要になるため、これも同様に手続きを進めましょう。
オフィス移転の際の通信関係について詳しく知りたい方は下記の記事も参考にしてください。
各種取引先や顧客に対する案内
オフィス移転をする場合は、取引先や顧客に対するお知らせも必要になります。案内文の郵送や電子メールなどお知らせの手法は複数あるので、状況によって使い分けて取引先に迷惑のかからない配慮が望まれます。
オフィス移転の案内文について詳しく知りたい方は下記の記事も参考にしてください。
WebサイトやSNSアカウント、求人サイトといった情報更新
その他、WebサイトやSNSアカウント、求人サイトなどのWebで公開されている情報も住所変更の告知が推奨されます。とくに利用者の多いGoogleマップや公式Webサイトでは利用者に混乱をうまないよう住所変更を忘れないようにしましょう。
まとめ
オフィス移転には、法務局、税務署、労働基準監督署など複数の官公庁への届出が必須です。これら官公庁への届出に加え、銀行や郵便局、通信関係の手続きも必要で、詳細な計画と専門家への依頼が推奨されます。さらに、取引先や顧客への通知、WebサイトやSNSの情報更新も忘れずに行いましょう。
オフィス移転の際には多くの社員が忙しくなる状況が想定されるので、余裕をもって漏れのないように対応しましょう。