オフィス移転の会計処理方法は?勘定科目は何を使えばいい?
オフィス移転をする際は、多くの会計処理が必要になり非常に煩雑です。内装工事費用やインフラ整備費など、移転にかかるコストについてどう処理すればよいのか迷う方も多いかと思います。
この記事では、オフィス移転の際に発生する費用を区分し、それぞれの処理方法など簡単にまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
1. 移転関連費用の分類と処理方法
原状回復費用
古いオフィスから退去する際に、内装を入居時の状態に戻すために必要な工事費用です。
この費用は賃貸契約に基づいて発生し、賃貸人が原状回復を求めることが一般的です。不注意でついた傷や汚れなどを修繕・クリーニングする必要があります。
処理方法:修繕費として計上します。
ポイント:既に支払った礼金の均等償却が残っている場合は、修繕費で処理可能です。
廃棄処理費用
オフィス移転時に不要となった家具や備品、設備などを廃棄するためにかかる費用です。これには廃棄物の収集・運搬、処分業者への支払いなどが含まれます。
処理方法:固定資産除却損で処理します
ポイント:廃棄証明書を発行して税務調査に備えることをおすすめします。
新しいオフィスの保証金・敷金
賃貸物件を借りる際に貸主に預ける金額で、契約期間中に家賃の未払いなどのトラブルが発生した場合に備えるためのものです。地域によって保証金や敷金など名称が異なることがありますが、基本的には同じ意味合いで使われています。
処理方法: 経理上資産に扱うことが可能です
ポイント:礼金は5年間均等償却で計上しておき20万円未満は一括償却になります。
引越し費用
オフィス移転費用の中でも家具や設備の運搬費用を指します。
処理方法:引っ越し費用は雑費で計上することができます。
ポイント:社会通念上妥当な金額と判断されたケースにだけできるので、引っ越しする相場を考慮しなければいけません。
仲介手数料
オフィスの不動産屋に支払う仲介手数料です。
処理方法:支払手数料として計上することができます。
ポイント:不動産屋によって手数料は様々なので自社の条件にあった不動産屋を探しましょう。
2. 内装工事費用の減価償却について
新オフィスの内装工事費用は金額が多いため、修繕費として処理することができません。一般的に固定資産として減価償却して経費化します。内装工事の内容を確認し、建物や建物付属設備、構築物などに区分することが可能です。
建物工事の耐用年数
床や壁といったオフィス内装工事は原則建物になります。内装の種類により耐用年数を決めることができます。
鉄筋コンクリートなどの丈夫な建物だと30〜50年の耐用年数がありますが、一般的な内装工事では10〜15年で減価償却されます。壁紙張替えなどの小規模な工事では明確な基準が設けられていません。これらは工事の規模や金額などに合わせて判断することになります。
また、賃借期間の定めがありそれ以上更新できない場合には、賃借期間を耐用年数にすることが可能です。例えば100万円の工事費を10年で減価償却する場合、1年間に10万円計上することになります。賃借期間が5年の場合、耐用年数は5年にして年間20万円となります。
各種備品の耐用年数
備品をすべて含めて計算するケースもありますが、例えば下記のようにカテゴリごとに細かく分類して計上することによりその分科目毎に経費を計上することが可能です。
・床の敷物(カーペットなど): 3〜6年
・応接セット(来客用ソファなど): 5〜8年
・電気機器(冷蔵庫など): 6年
備品により細かく耐用年数が規定されているので、そのアイテムに応じた耐用年数を決定することにより償却期間も変わってきます。少し面倒ですがこのように区分することによって償却期間が短くなるケースが多いです。きちんと仕分けすることにより、コスト改善に繋げることができます。
オフィス移転の会計処理をスムーズに行うためには、会計処理にも知見があり総合的なサポートを受けられる業者を選ぶことが非常に重要です。請求書の記載方法が詳細であれば詳細であるほど、上記のように細かく耐用年数を決定することができます。オフィス移転や内装工事業者を選ぶ際には費用の安さだけではなく各種のサポートの手厚さも参考にするとよいでしょう。
オフィス移転業者の選び方についてより詳しく確認されたい方はこちらの記事もご覧ください。
まとめ
会計処理を行う際には、赤字決算にならないように注意が必要です。銀行から融資を受ける場合の信用評価や取引先や投資家への信頼低下など、デメリットが大きいので会計処理は工夫して行うことが推奨されます。
オフィス移転時には、多くの費用が発生しますが、適切な会計処理を行うことで、経費の管理や節税に役立ちます。サポートを受けられる業者の選定や、請求書の詳細な記載も会計処理を円滑にすすめるためには重要なポイントといえるでしょう。