消防法をはじめとしたオフィスレイアウトで遵守する必要がある法令とは?
オフィス移転に伴い、専門業者にオフィスレイアウトを依頼することもあるでしょう。
内装工事を行う業者はたくさんあり、そのほとんどは良心的な業者です。
しかし、中には一見良さそうに見えても、実は法令違反のオフィスレイアウトを提案する悪徳業者もいるかもしれません。
本記事では、オフィスレイアウトで遵守するべき法令と悪徳業者を見極めるポイントについてもご紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
オフィスレイアウトに関する法令やルールについて
オフィスレイアウトに関する法令の代表的なものとして、下記の3つが挙げられます。
- 消防法
- 建築基準法
- 労働安全衛生法
その他にも、政府のガイドラインや各都道府県によって定められた条例にも留意しなければなりません。
社内に法務担当者がいる場合には、相談しながら進めていくことも可能ですが、そうでない場合には、ある程度の知識を得た上で業者を選定することが大切です。
オフィスレイアウトで遵守するべき代表的な法令
それでは上記に挙げたオフィスレイアウトで遵守するべき代表的な法令について、個別に解説していきます。
消防法について
消防法は、オフィスなどの火災予防や、もし火災が発生してしまった場合でも、被害を最小限にとどめるために制定された法律です。
消化器やスプリンクラー、火災報知器、消防活動用設備等の設置義務や、床から1.2m以上の壁や天井には難燃以上の素材を使用しなければならない、などの内装制限もあります。
消防法におけるパーテーション設置の注意点
オフィスレイアウトにおいて、パーテーションを設置して区画分けを行うのはよくあることですが、天井まで届くパーテーションを設置する場合には注意が必要です。
消防署への届け出も必要になります。
背の低いパーテーションと違い、天井まで届くパーテーションは壁として扱われます。
もともと付いていたスプリンクラーや火災報知器の動作を阻害するおそれがあり、設置場所の変更や設置数を変更しなければならないこともあります。
また、天井まで届くパーテーションの設置は建築基準法にも影響があります。
建築基準法について
建築基準法は、働く人の安全や健康の観点から、建築物の構造や設備について守るべき最低限の基準を定めた法律です。
建築物の耐震性や、ホルムアルデヒド等の人体に悪影響のある化学物質を含む建築資材の使用に関する制限などがあります。
建築基準法におけるパーテーション設置の注意点
建築基準法では避難経路の確保も重要視されており、天井まで届くパーテーションを設置する場合には、避難階段までの歩行距離にも注意しなければなりません。
オフィスの直通階段(避難階段)までの距離は14階以下で60m以内、15階以上で50m以内にする必要があります。
また、火災が発生してしまった場合に備え、床面積500平方メートル以内ごとに排煙設備を設置する必要がありますが、天井まで届くパーテーションを設置することにより、排煙効果にも影響が出てしまいます。
建築基準法における廊下幅の確保
建築基準法では、廊下の両側に部屋がある場合には、160センチメートル以上、片側のみに部屋がある場合には、120センチメートル以上の幅を確保しなければならない、との規定があります。
労働安全衛生法について
労働安全衛生法は、働く人の安全や健康の確保と、快適な職場環境を維持・促進するための法律です。
オフィスレイアウトにおいては事務所衛生基準規則の、事務室の環境管理基準の内容に考慮する必要があります。
気積
オフィス内は密閉空間であり、呼吸が心配されるため、設備の占める空間や床から4メートルを超える空間を除き、労働者一人について10立方メートル以上確保しなければなりません。
照度
人が働く場所では、作業内容に適した明るさ(照度)が必要です。
オフィス内においても、基準に適合した照度にすることと、6カ月に1回、照度の点検を行わなければなりません。
照度の最低基準は、精密な作業では300ルクス以上、普通の作業では150ルクス以上、粗な作業では70ルクス以上となります。
基準値以上の明るさとなるよう、照明の種類や数に考慮しなければなりません。
オフィスレイアウト、こんな悪徳業者に要注意
オフィスレイアウトでは、どの内装業者を選ぶかによって費用や仕上がりが大きく違うことがあります。
社員全員が働きやすく、満足できるようなオフィス環境を整えるためにも悪徳業者には気を付けなければいけません。
こんな業者には注意したい、悪徳業者の典型例を紹介します。
見積もりが大雑把
通常見積書には、詳細な内訳が記載されますが、『諸経費』『一式』と大雑把な記述がある場合には注意が必要です。
必要のない工事費用を含めているかもしれません。
各種法令や条例の知識に乏しい
オフィスレイアウトを行う際には、先に紹介した消防法、建築基準法等の法令、条例についての知識が必要ですが、こちらが聞いても答えなかったり、あいまいな返答をする場合には注意が必要です。
基準を満たしていなければ、後々、改修工事などで追加の費用がかかってしまうかもしれません。
契約するよう急いだり、契約書を交わさない
優良な業者は、丁寧に契約内容を説明して、納得してもらってから契約するものです。
契約を急いだり、契約書を交わさない業者は、後々トラブルに発展する可能性があります。
信頼できる業者に依頼してオフィス環境を快適な空間にしよう
オフィスレイアウトでは、『消防法』『建築基準法』『労働安全衛生法』の3つの法令を遵守する必要があります。
設置の義務付けられた設備があることや、パーテーションの高さによっては火災報知器等の防災設備や、避難階段までの歩行距離に影響が出てしまうなど、様々なことを考慮しながらレイアウトを考えなければなりません。
各種法令について豊富な知識持った信頼できる業者に依頼して、オフィス環境を快適な空間にしましょう。