オフィスの【保証金】と【敷金】は何が違う?
オフィス移転をする時には必ず保証金、敷金がかかってきます。大阪のような大都市ですと賃料が高くなるので、賃料に付随してくる保証金敷金には注意したいところです。似た意味で使われている保証金と敷金ですが何が違うのでしょうか。ここではオフィス移転時の保証金と敷金の違いについてみていきます。
保証金と敷金の共通点
保証金も敷金も債務保証(家賃滞納などがおきた場合)のために不動産契約時に支払うことになります。両方支払う必要はありませんのでご安心ください。保証金、敷金は原則として債務がない場合は、契約が終わった時に全額もしくは一部の金額が戻ってくることになっています。
全てのトラブルを防ぐために、入居した時の写真は細かくとっておくようにしましょう。入居した時の現状も細かく記録に残しておいて、貸主、不動産会社と共有しておくようにしましょう。
退去する時に建物に傷などがついていた場合、それが始めからついていた傷なのか、契約が開始されてからついてしまった傷なのかで保証金、敷金が戻ってくる額がかなり変わってしまうことがあります。
オフィス賃貸契約は契約期間が長くなるこがほとんどなので、契約した時の口頭での記憶だけではお互いに危険です。
保証金と敷金の違い
保証金は「㎡単価」「坪単価」で決められることがほとんどです。基本的に保証金と明記してあれば賃料が上がっても、保証金の値段はかわらないようになっています。
基本的には敷金と同じ性質ですが、なぜ名称が違うのかというと日本の地域差と習慣が影響しているためです。オフィス賃貸のときは保証金とよばれるのが一般的となっています。
なぜオフィス賃貸の時に限るかといえば、日本独自の風習である建設協力金が転化したことがあげられます。
建設協力金とは日本で初めてのオフィスビルを建築した三菱が当時入居する時にあずかったお金を指します。これは数十年間無利子で据え置きにして、約束の時間が経過するとその後数十年をかけて分割で返済するというものでした。
時代がすすむにつれてどんどん消滅していってしまった言葉ですが、この建設協力金のなごりで現在保証金という言葉が残っているのです。
保証金に対して敷金は「賃料の何か月分」とされることがほとんどです。
敷金と書かれてあれば、賃料が変わると敷金の額もかわってくるようになります。これが保証金との一番大きな違いになります。
仮に月額15万円の賃料で敷金3か月分と書いてあれば敷金は45万円となります。しかし敷金は金額で表示されていない分、賃料が18万円になった時には54万円になるということになります。
この追加された分は契約更新の時に一括で払うことになるのでかなりの出費になってしまいます。また敷金は賃貸借契約に付随するお金であるのに対して保証金は賃貸借契約とは別に結ばれた金銭消費貸借契約とされることがあります。
保証金と敷金の違いでおこりうるトラブル
問題なく賃貸借契約が続いているうちは保証金、敷金のどちらでも変わりはありません。しかし貸主に問題が起きた場合は、保証金と敷金の違いでトラブルが起きてしまうことも予想されます。
仮に貸主が何らかの理由で民事再生か破産を申告したとします。この場合、いずれは新しい大家さんがあらわれるのですが、敷金で契約している場合は賃貸借契約に付随しているので問題なくひきつがれます。
しかし保証金の場合は引き継がれないことも考えられます。保証金は賃貸借契約とは別の金銭消費貸借契約となっているからです。しかし全額戻らないかといえば断言できるわけではなく、保証金の額が6か月以内であれば敷金と同じ意味だということにされているため、戻ってくる確率は大いにあるでしょう。
逆に言うと敷金であっても6か月を超える分は保証金と同じように金銭消費貸借とされる場合があります。この点についても契約の段階で貸主もしくは不動産屋さんに聞いて疑問をクリアにしておくことをおすすめします。
まとめ
保証金と敷金の違いについてみてきました。契約書を読んで保証金、敷金の値段について理解を深めておくようにしましょう。
また、予想外の事が起きた時に保証金敷金がどれぐらい返ってくるのかつかんでおくことも大切です。もともとオフィス移転時の保証金や敷金は一般住宅時よりも高額に設定されています。これはオフィスが住宅よりも原状回復費用をはじめ、退去するときにリスクが非常に高くなることが原因とされています。
住宅であればハウスクリーニングと家具の撤去だけで済みますが工事箇所が増えるであろうオフィスは貸主の負担が大きくなります。このため保証金、敷金も高くなってしまいます。保証金、敷金が予想以上に高額になってしまうため、他の引っ越し費用で節約できる部分はどんどん節約して快適なオフィス移転をするようにしましょう。