オフィス移転を考える際、よく耳にするのが「スケルトンオフィス」という選択肢です。

ただ、「自由にレイアウトできると聞くけど実際はどうなの？」「費用が高そうで不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、スケルトンオフィスの基本的な特徴から、移転することで得られるメリット、注意すべきポイントを整理しました。この記事を読み、自社にとってスケルトンオフィスが適しているのかどうか判断するヒントにしてくださいね。

スケルトンオフィスと一般的なオフィスの違い

スケルトンオフィスとは

スケルトンオフィスとは、内装や設備が取り払われ、コンクリートの床や壁がむき出しの状態で貸し出されるオフィス物件のことを指します。通常のオフィス物件では、照明・床材・天井材・空調設備などがあらかじめ設置されていますが、スケルトンオフィスにはこれらが含まれていません。

そのため、入居企業が自社の働き方やブランドに合わせて、ゼロから内装を設計・施工できるのが最大の特徴です。

例えば、受付エリアを重視したデザインや、チームワークを促進するオープンスペースの導入など、自由度の高い空間づくりが可能となります。一方で、入居前に内装工事や設備工事を行う必要があるため、初期コストや工期が通常より大きくなる点には注意が必要です。

スケルトンオフィスは「自社に最適化したオフィスを長期的に活用したい企業」にとって魅力的な選択肢といえるでしょう。

スケルトンオフィスに移転するメリット

スケルトンオフィスには、一般的な居抜き物件にはない多くの魅力があります。

ここでは、企業がスケルトンオフィスへ移転することで得られる主なメリットを3つの視点から紹介します。

1.内装の自由度が高い

スケルトンオフィス最大の魅力は、ゼロから自社の理想に合わせて内装をデザインできる点です。

一般的なオフィス物件では、既存の床材や天井、照明などの制約を受けますが、スケルトンオフィスなら働き方や会社のイメージに沿った空間づくりが可能です。

たとえば、開放的な設計の共同作業エリアや集中用の個室ブース、来客へ与えるイメージを重視した受付など、自社独自のレイアウトを実現できます。結果として、従業員のモチベーション向上や企業イメージの強化にもつながります。

2.退去時の処分が簡単

通常のオフィス移転では、退去時に「原状回復工事」が必要となり、手間やトラブルが発生するケースも少なくありません。特に改装している範囲が大きいほど原状回復に必要な工事が増え、手間やコストは大きくなります。

しかしスケルトンオフィスの場合、入居時と同じ“何もない状態”に戻すだけでよいため、退去条件が明確でシンプルです。

このため、解約時の工事範囲をめぐるビルオーナーとのやり取りや余分な費用発生を避けやすく、安心して利用できます。

3.最新設備を導入しやすい

スケルトンオフィスは内装が空の状態なので、最新の設備を導入しやすいというメリットもあります。ネットワーク環境や電源計画を一から設計できるため、ハイブリッドワークやDX推進に合わせたオフィスづくりが可能です。

たとえば、最新の会議システムやセキュリティ設備、効率的な空調・照明機器を導入することで、利便性と快適性を兼ね備えた職場環境を実現できます。将来的に働き方が変化しても柔軟に対応できる点も大きな強みです。

このように、スケルトンオフィスは「自由な内装設計」「退去時のわかりやすさ」「最新設備への対応力」という3つの観点から、移転を検討する企業に大きなメリットをもたらします。

スケルトンオフィスに移転する際の注意点

魅力の多いスケルトンオフィスですが、注意しておくべきポイントも存在します。

ここでは、移転をスムーズに進めるために押さえておきたい2つの注意点を見ていきましょう。

1.引っ越しと工事のスケジュール調整

スケルトンオフィスは入居時に内装工事が必須となるため、引っ越し作業と工事のスケジュール調整が重要です。

通常のオフィス移転では、契約後すぐに入居して利用を始められるケースもありますが、スケルトン物件では工事期間が数週間から数か月かかることも珍しくありません。

もしスケジュール管理を誤れば、引っ越しは完了したのに工事が終わらず、業務開始が遅れてしまう恐れがあります。

そのため、移転計画を立てる段階で「工事完了から入居までの流れ」を逆算し、余裕をもった工程表を作成することが大切です。

2.入居時の費用が高額になりがち

スケルトンオフィスは内装が空の状態であるため、入居時の工事費用がかさみやすい点に注意が必要です。

床や壁の仕上げ、照明・空調・ネットワーク配線など、すべてを一から整備する必要があり、通常の居抜き物件より初期投資が高額になりがちです。

ただし、自由度が高い分「必要な範囲に絞った工事」ができるため、コストを最適化する余地もあります。複数業者に見積もりを依頼し、優先度の高い部分と後回しにできる部分を明確にすれば、予算オーバーを防ぎながら自社に合ったオフィスを実現できるでしょう。

移転と内装の両方に対応できる業者への依頼がおすすめ

スケルトンオフィスへの移転では、引っ越し作業と並行して内装工事を進める必要があるため、複数業者とのやり取りが増えるとスケジュール調整や費用管理が複雑になりがちです。

このような場合におすすめなのが、移転と内装の両方に対応できる「ワンストップ型」の業者に依頼する方法です。

ワンストップ型業者に依頼するメリットは複数あります。

窓口が一本化され、担当者の負担を軽減できる

移転業者と内装業者の調整を別々に行う必要がなく、コミュニケーションコストを削減できます。

スケジュール管理がスムーズになる

引っ越しと工事の工程を一元的に調整してもらえるため、予定通りに業務を再開しやすくなります。

全体費用を把握しやすい

内装費用・引越し費用をまとめて見積もりしてもらえるため、予算オーバーを防ぎやすいです。

実績に基づく提案を受けられる

オフィス移転の経験が豊富な業者であれば、トラブル回避や費用最適化のノウハウをもとに、自社に合った計画を立ててくれます。

スケルトンオフィスは自由度が高い分、業者選びがそのまま移転の成否につながります。効率的に計画を進めたい場合は、移転と内装の両方に対応できる専門業者への相談を検討するとよいでしょう。

まとめ

スケルトンオフィスは、内装をゼロから設計できる自由度や、退去時の処分のシンプルさが大きな魅力です。さらに、最新の設備や働き方に合わせたオフィスづくりがしやすく、自社らしい空間を実現したい企業にとって最適な選択肢といえるでしょう。

一方で、入居時には内装工事が必須となるため、工期の確保と初期費用の負担には注意が必要です。
そのため、計画段階からスケジュールや予算を明確にし、実績のある専門業者に相談することが成功のポイントとなります。

オフィス移転を単なる引っ越しではなく、企業の成長戦略につながる投資と捉えれば、スケルトンオフィスの魅力を最大限に活かせるでしょう。